2020年4月1日号。<くらら見参!>

 新年度初日は雨で始まりました。
『××な日々。』のメール配信を始めてから14回目(たぶんそうですよね)の4月1日。毎年勝谷さんはエイプリルフールのネタを投入してきて、昨年は私も小説もどきをお送りしましたが、まさかこんな形で途切れるとは想像していませんでした。
 ネタはいくつか用意していたのですが、どうも笑えないものばかりになってしまったので、エイプリルフールは1年延期ということにさせていただきます。すみません。
 勝谷さんが生きていたら、今日は何を書いたでしょう。

 山形県で初の感染者が出ましたが、神奈川から自動車免許の合宿に行っていた女子大生ということで、これを山形の感染者数に入れてしまうのは酷ですね。それでも、このような感染も今後は増えるのでしょう。
 宮藤官九郎さんが陽性となったこともショックで、芸能界やスポーツ界にも拡がっていく様は不気味です。
 都内は、2週間ほど前に一旦下がったように見えたマスク率が上がって、9割くらいになったように見えます。相変わらず品不足が続く中で、みんな新品のマスクをつけているのだろうか。人が少ないからか、電車内や街の中も静かで活気が無い。乗客のイライラは感じませんが、今後は増えてきそうです。


 東京と大阪の知事や医師会、経済同友会などは「緊急事態宣言を出すべき」だと発表していますが、政府は慎重に進めようとしています。そりゃあそうでしょう。
 出した場合、極端な言い方をすれば「何もしなければ経済は死ぬ」。そうならないためには、失業補償や休業補償などの対策を立てておいて、実質的な鎖国となる海外からの渡航者制限や交通機関との連携、さらに医療体制の確保など、政府には責任ある対応が求められます。人の動きやカネの流れを止めるだけでは、感染拡大は止めても大不況がやってきてしまいます。

 今の空港なんて、海外のように体温を測ったり、軽い症状が出ていても隔離するなどの対応はせず、簡単な報告だけでスルーしています。そのために帰国者による拡大へと繋がっている。「3密」は避けてくれと言いながら、対象となる飲食店や娯楽業などへの補償が無いので、ヤバそうなところほど営業を続けている。こんな状況で緊急事態宣を出してしまったら、買い溜めは激しさを増して、コロナによる死者を遥かに上回る自殺者が出てくるでしょう。
 政府が慎重になるのは当然のことで、今まで形だけ良く見せていたものが崩れてしまう恐れがあります。そして国民の生活に重大な影響が出た場合に対処するのも限界がある。メディアは「外堀が埋められつつある」などと無責任なことを書いていますが、経済不況による死者数増加については、あまり考えていないのでしょうね。


 やはり見通しが立たないことが一番不安なのだと思います。そして、そのうち自分にも来るかもしれないという恐怖。それを克服するには、なるべく実態に近い情報を共有して自律した生活を送るしか無いでしょう。今は、永田町や霞が関も混乱の度合いが増してきている状況ですが、冷静に追っていくので、お付き合い願います。


 さて、待望の連載が始まります。第一弾は倉山満さん。『××な日々。』ではおなじみなので、いまさら紹介は不要でしょう。それでも、ご存じない方もいると思うので、まず自己紹介をしていただきます。
 勝谷さんは、倉山さんに選挙のときのお礼を言わずに逝ってしまいましたが、この『××な日々。』に倉山さんの文字を埋めていただくことで、天国(ですよね)に届くことを願っています。
 倉山さんには、歴史、政治経済や時事ネタについて自由に書いてくださいとお願いしています。内容については一切制限はありません。思想的には私と間逆なこともあるでしょう。勝谷さんとも一致することや異なることもありますが、忖度無く突っ込んで欲しいと思います。


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はじめまして。
憲政史研究者の倉山満です。
最近は、皇室史学者、歴史エッセイストも名乗っています。

エッセイストというのは、もちろん勝谷誠彦さんへのオマージュです。

生前の勝谷さんには、お世話になりました。

私は基本的に地上波の仕事は断っているのですが、
最初の例外が、サンテレビの「カツヤマサヒコSHOW」です。
まさにこのメルマガで「この人出てくれないかな」と書かれたのを、
私の担当の編集者さんが教えてくれて、とんとん拍子に話が決まりました。

その後、「血気酒会」に何度も呼んでくださり、
それが対談本になり、
私が本を出すたびにチャンネルくららで宣伝してくださり。

その勝谷さんのメルマガの執筆をと言われたら、
お引き受けするに決まっています。

そもそも、勝谷さんが兵庫県知事選挙に出た時、
あれだけいた保守の連中で、応援に行ったの、私だけですから。

他には杉田水脈さんの秘書(正確には後援会事務局長)だけ。
あっちの陣営から有田ヨシフさんの為書が。

有田さんと杉田さんの為書が並んでいたら、
すごいツーショットでしたね。(笑)

しかし、勝谷さんの出馬理由がすごかったですね。

「19時から事務所でネットの生配信するんで来てくれ」
って言われて、時間の間違いじゃないかと半信半疑。
冷静に考えれば、20時までが活動許可時間で、
みんな必死にやっている最中なので、
ネット放送をするなら20時以降なので。
ところが不安になって18時に電話したら、
もう呑んでた・・・。

番組でも開口一番
「なんで選挙に出たんですか?」
と通り一遍の質問をしたら、
「暇だから」
と驚愕の答え・・・。

まあ、他の保守の皆さんが来たくない気持ちもわかりましたけどね。
表でそれですから、裏の決起表明文とか、
自分を高杉晋作になぞらえるのは仕方ないですが、
対抗馬の現職知事を延々と放送禁止用語で罵倒・・・。
あれ、永遠に表に出さない方がいいかなあ。

そんな勝谷さんの表明文に
唯一参じたお前は何なんだという話はさておき。

あまりにも自暴自棄だったと言うべきか。
休肝日無しで40数年呑み続けてたそうですが、
最後は入院されて早死にされました。

惜しい人を無くしたのは間違いないのですが、
自分の命をもう少し大事にしてほしかったなあ、
と悔やまれます。

今、世界中が伝染病でパニックになっています。
誰もが何をどうして良いかわからなくなっています。
こういう時に勝谷さんがいたらなあ、
とボヤいても仕方がないので、
自分で考えることにします。

真っ先に思い出すのは、
「保守とは教養」
という勝谷さんの言葉です。

あれはチャンネルくららで番組の締めに呟かれた言葉でした。

リベラルの皆さんは、およそ教養があるとは思えない御仁ばかり。

一方で、保守の皆さんもリベラルの皆さんを批判するだけで、
皆が守るべき価値を示していない。

では、その価値とは何か。
それは誰かに正解を教えてもらうのではなく、
自分で知識を身に着け、考えて発見するもの。
そういうことを言いたかったんでしょう。

私は憲政史家を名乗っています。
いつも憲政史とは何かを聞かれて
憲法というルールに則って行われた、政治というゲームの、歴史
と説明します。

右と左に分かれて論争をしていても、
お互いに「憲法」という言葉の意味すらわかっていない。

護憲派は
「日本国憲法の条文を一文字も変えるな。特に九条」
と主張する。

改憲派は
「日本国憲法の条文を一文字でも変えるぞ。特に九条」
と主張する。

最後の結論が逆なだけで、頭の中身は一緒です。
そして、「憲法」の意味が分かっていない点で。

そもそも、憲法とは何か。
その国の歴史、伝統、文化として受け継がれた法のことです。
それを文字にしたものが、憲法典です。
たとえるなら、氷山の水上に出ている一角が憲法典です。
憲法とは、見えていない部分も含めた氷山全体です。

日本国憲法は、憲法典であって、憲法そのものではありません。
憲法をどうするかが憲法論議。
条文をどうするかの憲法典論議は、後回しで良いのです。

では憲法論議とは何か。
国のあり方をどうするかを決めることです。

具体的に聞きます。
日本国民には、軍隊を持つかどうかの合意があるでしょうか。

世界のたいていの国は、「軍隊を持つ」という合意があります。
憲法典の条文に書き込むかどうかは、その国の歴史文化伝統によります。

少数ながら、「軍隊を持たない」と合意している国があります。

たとえば、コスタリカ。
「軍隊は持たないけれども、軍隊以外の存在で国を守る」と決めています。
平時には警察や国境警備隊、有事には国民を民兵として動員する態勢です。

たとえば、ツバル。
太平洋に浮かぶ島が国です。
日本の地方自治体としても小さな国です。
軍隊を持つ余裕はなく、そもそも誰も攻めてきません。

たとえば、リヒテンシュタイン。
国防はスイスに丸投げしています。

たとえば、バチカン。
国民皆スパイ制です。(笑)

さて日本は?

憲法典に「自衛隊」とか「国防軍」とかの三文字を書き込むかどうかの議論はしても、
では、自衛隊だの国防軍が軍隊なのかどうなのかの議論は聞きません。
「すっごい武器を持った警察」が軍隊ではないのですが、
どうもそういう勘違いがあるらしい。

憲法典論議をする前に、憲法と憲法典の違いをわかっていないと
何を話しているのかすらわからなくなります。

もともと私は文学部史学科で日本近代史、
特に昭和初期の「憲政の常道」を研究していました。
私の大学生時代は政治改革の機運が吹き荒れていて、
ちょうど細川連立内閣が自民党を倒し、村山内閣で自民党が政権を取り戻した頃です。
お互いに相手を「憲政の常道に反する」と罵っていましたが、
何のことやらわかりませんでした。
それで大学院に入“院”して、「憲政の常道」を研究しているうちに憲法教員の職の話が来て、
「帝国憲法を知っているなら、日本国憲法もわかるだろう」
という凄い理由で、大学講師になりました。
おかげで
「憲法を教えているのに、日本国憲法より先に帝国憲法を学んだ」
おそらく日本で唯一の人間になれたと思います。

ちなみに、大学では「憲法」の他に、
体育の先生になる学生に「リーダーシップ論」
救急救命士になる学生に「生命倫理」を教えていました。
歴史はどこへいった?(笑)

その後、本を書くようになり、
倉山塾という私塾(いわゆるオンラインサロン)を開き、
大学で教える時間が無くなり、
今に至ります。

そうした中、あまりに保守を自称する人が無知なくせに偉そうなので、
皇室史学者を名乗るようになりました。
政府が有識者会議を開くとしたら呼んでもらおうとしたのに、
私が皇室史学者を名乗った瞬間、
内閣が「そんな会議は開かない」と決めたので、呼ばれてません。

歴史エッセイストの方は、地上波や週刊誌の取材の際に、
「憲政史研究者」じゃまずいことがあって・・・。

たとえば、
「織田信長の専門家」としてテレビ出演する時に、
「憲政史研究者」じゃ、
視聴者に「なんで?」と思われますので。

それで勝谷さんへのオマージュも込めて
歴史「エッセイスト」を名乗りました。

このたび、有名な勝谷メルマガが続いていると知り、
白羽の矢を立てていただきました。

主に政治と歴史の話をしたいと思います。

今考えているのは、
・コロナ対策、何をしなければいけないか?
・リーマンショックを超える不況、どうすればいい?
・安倍官邸VS.検察庁 地獄の暗闘
・日本の天王山、日銀人事!
などなどです。

読者の皆さんからの声があると、できるだけ反応します。
これからよろしくお願いします。

以上、ご挨拶。

くらら、見参!

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