2020年6月6日号。<横田滋さんの思いを忘れるな / 一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。~連載を終えて~「長いあとがき・その2」:東良美季>

<横田滋さんの思いを忘れるな / 一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。~連載を終えて~「長いあとがき・その2」:東良美季>

 おはようございます。ヨロンです。

 横田滋さんがお亡くなりになりました。
<横田めぐみさんの父、滋さん死去 初代家族会代表>
https://www.sankei.com/world/news/200605/wor2006050028-n1.html
<昭和52年11月に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父で、拉致被害者家族会の前代表、横田滋(よこた・しげる)さんが5日午後、老衰のため川崎市内の病院で死去した。87歳。>

 勝谷さんはどんな弔事を述べただろうと、みなさん思われたのではないでしょうか。
 勝谷さんは拉致問題を語るとき、飲みながらであっても目に涙を溜めていることがありました。それは、横田滋さん、早紀江さんの気持ちを思ってのことでした。
 無念としか言いようがありません。

 一昨日、読者のKさんからメールをいただきました。
 今まで安倍政権を支持していた。それは拉致問題を解決してくれるという一縷の望みをかけていたからだったが、今は失望しか無い、というものでした。
 私は以前も書きましたが、勝谷さんに「安倍さんは拉致問題を解決する気はないよ」と言っていました。安倍さんは、小泉訪朝のときは尽力しました。そして第一次政権では、まだ解決しようという意欲はあったかもしれない。しかし、第二次政権になってからはやる気の無さばかりが見えました。

<安倍晋三政権は、拉致問題の解決、すなわち被害者の奪還を国政の最優先課題に掲げてきたはずではなかったのか。間に合わなかった。非は北朝鮮側にある。だが、平成14年10月に蓮池薫さん(62)ら5人の被害者が帰国して以降、進展がほぼない中でこの時を迎えてしまった。>

 これは、産経新聞社会部部長・中村将氏の文です。
<遅すぎる、国のありようが問われている 社会部長・中村将 横田さん死去 >
https://www.sankei.com/world/news/200605/wor2006050032-n1.html

 まさに、このとおりだと思います。
 10年以上前になりますが、私の住んでいたマンションが川崎市のすぐ隣にあり、雨の日にバス停でバスを待つ横田夫妻をお見かけしてから、急にこの問題が身近に感じられ、自分なりに関心を持って見てきました。
 それだけに勝谷さんの思いを共有し、政府に期待してきたつもりでした。

 それが失望に変ったのは、いつも言うだけで何も実現できていないことに気がついた頃からでした。第二次政権が誕生した直後にネット選挙運動が解禁され、「やっぱり自民党政権は結果を出せるな」と思い期待を膨らませたものの、その後は「何か変だ」ということばかり。「加速する」「果敢に取り組む」「説明責任を果たす」ということばが空回りをする場面を見続けてきました。

 拉致被害者の会で言われる「私の政権で必ず解決します」という決意表明も虚しく聞こえるようになったのは、北朝鮮側が金正恩というとんでもない馬鹿な指導者だったから、ということだけでもなかったでしょう。
 あのトランプ大統領は、直接会って話をするところまで行った。結局頓挫してしまったけれど、一時はノーベル平和賞という冗談のような話まで出てきました。韓国の文在寅大統領も、自身の支持率を意識しながら対話を進めようとしました。

 日本はどうか。
 交渉ルートは有るはず。表向きには「無い」ということになっていて、前提条件を付けずに金正恩と向き合うと表明したのが1年前ですが、そもそも第二次政権になってからまったく交渉ルートを作ろうとしてきませんでした。

 トランプ大統領が来日し、ツイッターで金正恩とやりとりして、急遽北朝鮮に寄っていったことがありました。
 あれは、突然のハプニングに見えたけれど、その裏では相当な交渉が行われていたはず。移動手段だけでなく、食事やトイレから、すべての行動についてアメリカと北朝鮮の外交担当者が密に連絡を取り合っていなければ、これは実現しなかった。

 このルートを使えば良いのです。しかし日本がやったのは、安倍首相がトランプ大統領に伝言を頼んだだけ。いつも安倍さんが言う「完全に一致」という関係があるのだから、アメリカと北朝鮮との交渉ルートに日本を割り込ませて、何とか乗り込む機会を設けるべきではないか。
 日本側にもルートは有るはずだけれど、本当に無いのであれば、目の前にあるチャンスをとらえるべきでしょう。

 そして、「前提条件をつけずに会う」というのでは北朝鮮は受けるわけがない。北朝鮮にとってメリットは何も無いから。相手は自分が犯罪を犯したという意識の無い人物。それに対して「怒らないから話そう」と言ったところで「はいそうですか」とはならない。これは小泉訪朝時も同じだったはず。相手が食いついてくる条件を出して交渉するのが外交の基本ではなかったのか。

 日本は経済制裁という武器を持っている。国際世論に訴えることも必要。コロナに乗じて国民の税金を適当に使う余裕があるのであれば、このカネをチラつかせてでも相手が乗ってくるように話持っていくのが「果敢に行動」ということでしょう。

 このままでは、拉致問題は1ミリも進まない。金正恩という頭のおかしい指導者や、北朝鮮という特殊な国を批判しながら待っていても、何も解決はしません。
 表現は適切でないかもしれないけれど、安倍政権にとっては支持率を上げるチャンスなのです。ここで踏ん張らないと、今後も何も動かない。
 昨日、安倍首相は私邸前の会見で「政府として、日本国としてですね、さまざまな動き、見逃すことなくですね、チャンスをとらえて果断に行動して実現していきたいと思います」と語りました。

 まだこの発言に期待する人もいることでしょう。でも、これでは結局同じこと。「チャンスをとらえて」ではなく「チャンスを作り出して」いくことでしか事態は動かないことを認識するべきです。


 最近は、政府批判はしないつもりでしたが、横田滋さん死去の報を受けて、日頃思っていることを書いてみました。これは今日だけにしておきます。
 当然、安倍首相のことばを信じ、政権を応援するという考え方があっても良いと思います。それでも、硬直感はみんな持っているはず。金正恩は話に応じる気はさらさら無い、と。それであれば、じっと待つのではなく、身近に使える手段があるのだから、こちらから仕掛けていくべきだという提案です。
「やっぱり安倍政権の最重要課題は拉致問題だと言うだけあって、よくやってくれた」と言える結果を得られるよう、横田滋さんの思いを持ち続けて行動して欲しい。
そう思わずにいられませんでした。


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一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。~連載を終えて~「長いあとがき・その2」

東良美季(作家)

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