2020年5月19日号。<継続審議にはなったものの / 輝いていない日々 第35回:花房観音>

<継続審議にはなったものの / 輝いていない日々 第35回:花房観音>


 おはようございます。ヨロンです。

 窓の外は、しとしと雨が降っています。今までは、雨でも出社しなければならない人がほとんどでしたが、これから1割くらいは「今日は家で仕事しようかな」と思えるのでしょうか。満員電車が1割減るくらいであれば、大きな変化は感じられ無さそうですが。
 出社時間をずらすだけでも、かなり効果はありそう。「朝9時に社員が揃っていなければならない」という会社は別として、朝礼のためだけに定時に出社するというようなことは減っていくのでしょう

 以前も書いたかもしれませんが、安曇野にいたころ、冬の雪の日になると張り切る総務部長がいました。
 雪の降る地域にいる人は、朝起きたときの空気の感じで「あ、雪が降っているな」ということがわかります。前日から分かる場合は早起きしますが、それでも道路は混んで遅刻することもある。私はそもそも毎日ギリギリに出社していたので、雪の日はさらに慌てて、田んぼに突っ込みそうな運転をしながら会社に通っていました。
 会社に着くと、早く来た人が駐車場の雪かきを手伝わされ、総務部長が生き生きと陣頭指揮を執っていました。まさに「俺の出番だぜ」と。そして1秒でも遅刻すると、理由が何であれ「雪の日は早めに家を出ないとダメだろう!」と部長に怒られるのです。
 カーペンターズに「雨の日と月曜日は」という名曲があります。憂鬱な気持ちを歌ったとても美しい曲で、雨の日や月曜日に出社したくないと思いだしていました。これは恋愛の曲なのですが。
「雨の日と月曜日は」
https://www.youtube.com/watch?v=Q3XDXSytiWY
 やはりカレンの声は良い。
 長々と出社しない言い訳のようなことを書いてきました。今日は自宅で仕事です。


 検察庁法改正案が今国会では見送られ、継続審議となりました。東洋経済が、早速その裏側を報じています。反対している野党は「民意の勝利だ」などと喜んでいますが、勝ったと言えるようなものでもありません。公務員の定年延長を分けて、検察庁法を廃案に持ち込めなかったので。

<検察庁法案、急きょ「今国会成立見送り」の理由
内閣支持率が急落、安倍首相「初めての挫折」>
https://toyokeizai.net/articles/-/351121
<政府与党は改めて今秋に予定される臨時国会での関連法成立を目指すが、世論が批判する黒川弘務検事総長案を断念しない限り、「改正法成立は困難」(自民国対)との見方も広がっている。>

 問題となっている黒川氏の定年は今年の2月8日でしたが、8月7日まで延長されることが閣議決定されています。まずは、これがどうなるのか。いくらなんでも、再度定年延長を閣議決定することはないでしょう。それでもパターンはいくつか考えられます。
1.黒川定年、稲田検事総長は続投
2.黒川、稲田揃って退官
3.黒川延長(閣議決定)、稲田続投
4.黒川延長(閣議決定)、稲田退官
こんなところでしょうか。可能性が一番高そうなのは1、次に2です。広島の公選法違反事件決着を置き土産にして、稲田退官というのもありえる話。

 ここで注目すべきは、国家公務員の定年延長も合わせて、今国会での審議・採決を見送ったこと。ここは野党がしくじったかな。国家公務員の定年延長は誰も反対していないので、それだけ分けて今国会で採決してしまえば良かったのです。
 官邸としては、どうしても公務員の定年延長と検察庁法を一緒にして一気に通してしまいたいので、秋にそれができる可能性を残しました。

 世論に配慮したように見せて一旦引き、臨時国会で通す可能性を残したところは、戦術に長けた官邸の技がまだ生きていると見ていいでしょう。公務員の定年延長は労組の希望でもあったので、野党からしても手放しで喜べるようなものではない。
 一旦休憩して作戦練り直し。秋になればコロナも収束してきて、内閣の支持率も上昇に転じ、検察庁法改正への関心も収まると踏んでいるのでしょう。今まではそれが通用しました。


 内閣支持率といえば、NHKとANNの調査も発表となりました。
支持、不支持の順でカッコ内は先月の値。
NHK
37%(39) 45%(38)
ANN
32.8%(39.8) 48.5%(38.6)

 10万円給付を決めて、なんとか留めていた支持率も、一気に下落傾向が見えてしまったので、官邸は焦ったのでしょう。支持を上げられるはずだった公明党が下げてしまっていることも、今回の検察庁法改正が国民の関心事となってしまったことのあらわれです。

 官邸としては、これから支持率回復を期待したいところですが、今回自民党内でも造反が出そうになっていたことから、ポスト安倍に向けた動きが加速しかねないという懸念もあります。注目すべきは、岸田・石破の次期総裁候補、そして次に続く候補が現れるかどうか。
国民の意識としては、「その前にコロナでしょう」なんですけどね


 横溝正史の小説というと、なぜか私のイメージは「雨」なんです。じとっとした質感を感じているのかもしれません。

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 輝いていない日々 第35回

 花房観音(小説家)

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