2020年2月17日号。<政府は今こそ”国難”だと認識するべきではないのか>

 おはようございます。ヨロンです。

 昨日、またやってしまいました。すみません。
漆嶋さんのエッセイで「ヒメジョオン」の漢字で機種依存文字があり、文字化けしてしまいました。本当の文字は「苑」の草冠の下にウ冠があるのです。
昨日のバックナンバーに正確な字を入れておいたので、こちらでご確認ください。
ログインしなくても読めるようにしてあります。
https://katsuyamasahiko.jp/2020/02/16/15879/

連日の「コロナ狂想曲」、などと書くと不謹慎だと怒られそうですが、これはランナーでなければ「ばっかじゃねーの?」と言いたくなるレベルですよね。
<熊本や京都マラソンでマスク姿 中国在住者に自粛要請も>
https://digital.asahi.com/articles/ASN2J3J02N2JTQIP007.html
<新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、熊本市で16日に開かれた「熊本城マラソン」では、マスクをしたランナーが目立った。予防策として実行委員会がボランティアを含め計約2万枚を配布した。一方、中国からエントリーしたランナーに参加自粛を促す動きも相次いでいる。>

 そこまでして走らなくても……と思ってしまいます。結局、熊本や京都の大会で、中国在住の日本人や中国人の”多くが”キャンセルしたようですが、それでもわずかに参加しています。他の日本人参加者にも感染者はいるかもしれないので、今後大きな大会は開催を検討すべきでしょう。
この先心配になるのは、3月1日に行われる東京マラソンです。都内では昨日も新たに5人の感染者が確認され、この調子で行くと、あと2週間で潜伏期間者も含めて、かなり増えることが予想されます。
実際、一般参加者をやめさせたり、高齢者に辞退してもらうなど検討しているようで、MGCのような選考会となるか、もしくは全面取りやめもありうるでしょう。
しかし、宿泊施設や交通機関を予約している参加者も多いでしょうから、早めに決めないと影響は大きい。本番が近づくと中止し難くなってくるので、実行委員会はかなり頭を痛めていることでしょう。

■クルーズ船で増え続ける感染率はなぜ

 横浜のダイヤモンド・プリンセスについて、現場の責任者となった橋本岳さんが、ブログに詳細に現場の情報を載せてくれています。
2月9日<クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」について>
http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-e2d86d.html
<香港で下船して感染が確認された方の濃厚接触者に対してPCR検査を実施することとし、検体採取を行い、検疫所などの施設でPCR検査を行いました。現時点で乗客279名の結果が公表されており、64名が陽性となっています。>

 このときの「やけに感染率が高いなあ」という感想に対して、
<この数字だけ見ると感染率22.9%となりますが、あくまでも感染リスクが高いと考えられる上記条件の方のみを検査した結果ですので、3,711人全体が同様の割合で感染していると考えることも、誤りです。>

 ということで、橋本さんも「あくまで怪しい人を調べた上での数字がこれだから、もっと多く調べていけば減っていくはずだ」と考えていました。そして、昨日のブログを見てみると、
<クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」について(その2)>
http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-526666.html
<16日0時現在で、のべ1,219名のPCR検査結果が判明しており、陽性が355名、陰性が864名です。潜伏期間があるため、いつ感染したかはわかりませんが、これは相当に高い感染率と言わざるを得ません。>

 感染率29.1%。増えています。これは橋本さんも想定外の数字だったのではないでしょうか。徐々に可能性が薄くなっていくはずが、感染者が増えている。乗客は部屋に閉じこもっているはずなのに。

 考えられる原因はふたつ。ひとつは香港人の感染者が確認されたあとも、普通にビュッフェで食事したり映画鑑賞が行われていたりしたので、すでに感染者が多数出ていて、船内で菌が培養されている状態になっていること。
もうひとるの可能性として考えられるのは、乗員に感染者がいるのではないか、ということです。もちろん、乗員は十分な予防をして乗客から移らないようにしているのはわかっているのですが、もし乗員が感染していて、潜伏期間中だったとしたら。配膳やリネン交換など、十分な予防をしていても乗員自身が感染していたとしたら、乗客に移る可能性はゼロとは言えないのではないか。
もちろん、これは想像であり、今は安易に想像でものを言うべきではないという批判もあるかもしれません。
しかし、発表された数字を見ただけでも異常であることがわかります。

 感染者の濃厚接触者や、症状が出ているような乗客を調べて感染率が22.9%。そこからしばらく時間が経ち、29.1%に上がっていているというのは、トータルの数の上でのこと。
実は最初の報告から追加で調べたのが940名。そして増えた感染者は291名なので、実際は追加で調査した中での感染率は31%なのです。最初の検査と最新の検査では7ポイントも感染率が上がっている。
なぜこうなってしまったのか。現場は大変なことと思いますが、しっかりと検証されないと、19日に下船となった場合に、新たな潜伏期間の感染者を大量に下船させてしまうことにもなりかねません。

■初の専門家会議で「先手の対応を」

 政府の対応が後手後手にまわっていて、海外からも批判が出ていることはすでに既報のとおりです。政府は昨日、初めて専門家会議を開き、対策を検討しました。
<政府「患者増加の局面を想定」 診療機関800カ所に拡大、17日に受診の目安を公表>
https://www.sankei.com/politics/news/200216/plt2002160018-n1.html
<政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は16日、初の専門家会議を開き、ウイルス感染による肺炎を疑う症状が出た場合、受診・相談の目安に関する議論を始めた。感染経路が不明なケースが増えており、加藤勝信厚生労働相は16日の記者会見で「患者が増加する局面を想定した対策を今から取るべきだ」と指摘。目安は17日にも公表する。>

 これを見て「よし、よくやっている。頑張れ!」と思える人もいるでしょう。でも私にはそうは見えないのです。800箇所医療機関が増えるという数字に期待してみたら、今の726箇所から増やす”方針”だと。「17日に目安を発表」とか、ぬるすぎるように思えます。どうでしょう。

 そう思っていたら、百田尚樹さんがこんなことをツイートしました。
<皆さん、
政府は無能です。
国民の命を守るんだ!という意志も能力もないことが明らかになりました。
自分と家族の命は自分で守りましょう!
お互いに、生き抜きましょう!>

 それに対してこんなツイートがされました。
<徹底的に保守にダメージ与えて売国左翼が利する行為に徹する売国奴の百田
コロナなんて大したことない
致死率はインフル並なんだから
百田のように危機感を煽ること自体が悪質なテロ行為
われわれ愛国者は百田という卑劣な売国奴には決して負けない!
日本のリーダーは安倍さんであって、お前じゃない>

 安倍応援団の百田さんは、現状を冷静に分析して断腸の思いで「今のままではダメだ」と警告を発しただけなのに、売国奴呼ばわりです。そのうち「パヨク」と批判されるのでしょうか。

■「新型インフルエンザ特措法」を使わないのはなぜか

 ここで、ひとつ覚えておいていただきたい事実があります。政府は新型肺炎を、1988年に公布した「感染症法」にある指定感染症と閣議決定しました。
しかし、2009年世界的に流行した新型インフルエンザに対応できないということになり、「新型インフルエンザ特措法」が2012年に策定されているのですが、これは適用されませんでした。
これを用いれば、政府の対策本部に合わせて都道府県知事及び市町村長も対策本部を設置することが義務付けられ、医療従事者等へのワクチンの先行接種の実施、緊急事態対応措置も行われることが可能となるのに。

 なぜ、政府は「新型インフルエンザ特措法」での感染症指定をしないで、古くて緊急時の対応がし難い「感染症法」での指定に決めたのか。それにより、緊急時対応ができず、クルーズ船の乗客を船内に閉じ込めることになったとしても。クルーズ船での対応ミスはそれが原因かどうかは、検証の余地はありますが。

「新型インフルエンザ特措法」が無視されたのは、2012年5月11日に制定された法律であることによります。
あの悪夢の民主党政権時代に作られた法律だったから。安倍さんとしては、民主党政権が作った法律を使いたくなかった。さらに、新型インフル特措法が使えるとなってしまうと、緊急時対応を憲法改正につなげることができなくなってしまう。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(1999年施行)
https://ja.wikipedia.org/?curid=232186

新型インフルエンザ等対策特別措置法(2013年施行)
https://ja.wikipedia.org/?curid=2764296

百田さんのツイートを見ても、今は右とか左とか与党とか野党とかにこだわっている時期ではないことはわかります。
政府に厳しいことを書くと「左翼的なことは書かずに中道的なことを書いてください」というような意見をいただくきます。そこで、なるべく中道的なことを書こうと気をつけているのですが、国難といえる状況になってきているのに、「先手で対応を」と言いながら、習近平国家主席の国賓来日の準備を進めるという神経は理解できません。そもそも現状認識できる能力が無いのではないか、と疑わざるを得ないのです。

せめて、国民の命を最優先に考え、加藤勝信厚労相を中心として各省庁横断の協力体制を作り、全国の自治体に対策本部を設ける方針くらい、政府の対策本部で首相自らが責任を持って指示して欲しい。ヤジを言われたとか罵倒されたとか、そんなのはどうでも良いことです、
これでも、やはり「安倍さんは今の日本のリーダーとしてふさわしい」ということになるのでしょうか。首相からのメッセージは「人混みには気をつけましょう」です。そりゃあ、自国の同胞を船内に閉じ込められてしまっている国からしたら、チャーター機で”救出”しに行きたくなるでしょう。
今週は、政府の動きと感染の拡大に注目です。

では、良い一日を。手洗いは念入りに!

コメントを残す