2019年12月10日号。<花房観音の輝いていない日々 第24回>

 おはようございます。ヨロンです。

 AIとロボットの積極導入+法人税の適正化+ベーシックインカムの「新三本の矢」構想(それほど大げさではないけど)を書いたところ、いくつも意見や感想をいただきました。ありがとうございます。
 概ね、理解・賛同いただけましたが、ベーシックインカムに関しては、やはり「ある程度の額を誰にでも渡してしまうと、働かなくなるのではないか」「それよりも、介護職や保育士などの人手不足と待遇を改善させるのが先」という意見もあります。
 ベーシックインカムの議論になると必ず出てくる考え方で、私も理解できます。確かにそれはある。私の考えるベーシックインカムは、「ダメな奴は救わず、救うべき人を救う」というものです。最低限の生活保障はされますが、ギャンブル、酒、薬物などの依存症で金を使い切って貧困になる人や、家族も含めて他人の金を狙う悪人は必ず出てきます。「すべての国民に最低限の生活保障」がされているので、生活保護は無くなりますが、法律を悪用して稼ごうとする輩が必ず出てくる。それは今まで以上に厳格に対処します。
 学習したくても学習できない。働きたくても働けない。という人をまず救うのが目的。そしてさらに「生活を充実させたい」「もっと良い暮らしをしたい」「純粋に働きたい」という人が、失敗や貧困の心配をせずに働ける社会を作ることによって国力を上げていく、というのが最大の目的です。
 もちろん、財源を始め、考えなければならないことは山のようにあります。だからこそ、まずは国会で議論を始めて欲しいということなのです。自民党はなかなか出しにくいだろうけれど、野党はそれくらいやらないと差別化して支持率を上げることはできない。この問題は、今後も取り上げていきます。

 大阪一周忌イベントの写真の感想で「海軍の帽子をかぶっているのに、敬礼が海軍式ではない。勝谷さんが生きていたら叱られるのでは」という指摘が来ました。T-1君は、すぐに海軍式の敬礼を調べるように。ちなみに、こんな記事もあったけれど、どうなのかな。
「海軍須知」旧海軍における挙手の敬礼
http://navgunschl.sakura.ne.jp/suchi/02_Hand_Salute.html

 中国のシャオミ(小米、Xiaomi)が日本市場に参入してきました。
<小米、日本市場攻略のカギはスマホじゃなくて家電?>
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/120900946/
<中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)は12月9日、日本市場への参入第1弾となる商品を発表した。スマホに加えてIoT機能を備えた家電などをラインアップ。ECサイトを通じ、12月13日以降に順次発売する。世界的に知名度が高いスマホだけでなく、IoT家電までラインアップをそろえることで日本市場でのユーザー獲得を狙う。>
 ニュースでは1億画素のスマホが話題になっていましたが、私は記事にあるように家電メーカーとしての脅威を感じています。特に「Miスマートバンド4」は、以前同じくシャオミの並行輸入品「Mi Band」ユーザーだったことから、そのコスパの良さは実感しています。3千円程度の体組成計トラッカーで、時計表示、運動でのアクティビティ計測、心拍数などのヘルスケア計測、スマホ通知などの多機能ぶり。さらに寝ているときには何時間寝てどれくらいの深さだったかまで測ってしまいます。
 以前の中華家電は、日本のコピー品だったことが多いのですが、これからは高品質高性能で日本製を凌駕したものが出てきます。そのときに、どれだけの日本メーカーが対抗できるのか。

 ネットに繋がる中華家電ということで情報漏えいの危惧もありますが、この圧倒的なコストパフォーマンスは、残念ながら国内で対抗できるところは無い。週報迂闊屋で書いた記憶があるけれど、CerevoやUPQのような家電ベンチャーを国が支援して育てていくようにならないと、スマホだけでなく家電もやられてしまう。中国の脅威を心配する人は、国防にばかり目が行きがちですが、尖閣で睨み合っているうちに、日本の家電市場を押さえられて情報まで抜かれてしまったうえに、国内に工場を作るということで大量の土地を購入されてしまう恐れもあるのです。
 海保は、中国製ドローンを排除することを決めましたが、そうなると使えるドローンが極端に減ることになります。まずは日本の家電メーカーの立て直しをしていく必要があります。

 ちなみに体組成計トラッカーでいうと、シャオミも良いのですが、グーグルに買収されたFitBitの Inspire&Inspireがお薦めです。こちらは、1万円ほどしてしまうけど、デザインも良いし、機能も十分。
https://www.fitbit.com/jp/inspire

 『好色入道』が文庫化された観音さん。私も買いました。これから読みますが、中村淳彦さんの解説が素晴らしいということで楽しみです。勝谷さんだったら、「自腹で買ってしまった」とか言うんだろうなあ。
https://amzn.to/2PpzboI

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 花房観音の輝いていない日々 第24回

 すごい勢いで時間が流れ、12月に突入してしまいました。
 一年はやっ!
 師走といえば、忘年会シーズンですが、私は不義理しまくりでひたすら仕事をしています。あんまり忙しい忙しいって書くと、仕事来なくなるんじゃないかと不安になるから、SNSでは書かないようにしているんですけど、ずっと仕事しています。
 暇だと人間は、ネットで粘着したりとかロクなことしないから、いいんじゃないかと思うけど、夢の中でも仕事のことを考えてるときがあって、疲労が増します。先週、一週間に締め切りが7本あったときは、さすがにわけわからなくて意識が朦朧として倒れていました。
 今、「小説新潮」に「果ての海」という、福井県の芦原温泉が舞台のサスペンス(?)を連載しているので、書きながら「温泉行きてぇ~」とか悶えています。
「果ての海」は、蟹シーズンの話なのですが、書いていて、ふと「そういえば、蟹、食べてない……」と思いました。昨年の12月に、芦原の屋台でストリッパーさんのおごりでセコガニ食べたのと、夏に新潮社の人たちと芦原取材の際、夜に食べた懐石の中で蟹の脚があった気がするのですが、それぐらいでしょうか。
 特に蟹が好きで、大好物! というほどではないのですが、駅に行き、蟹ツアーの広告がバンバン出ているのを見ると、蟹が食べたくなります。
 何より、私は但馬の生まれ。津居山漁港、香住、浜坂、城崎と、蟹の本場で育ちました。とはいえ、地元だから蟹をしょっちゅう食べてたわけではないです。
 3年前の、ちょうど今頃、サンテレビ「カツヤマサヒコSHOW」で、雪の香住駅、蟹の看板の前で、勝谷さんと榎木さんと一緒にロケをしていたことも、思い出しました。あの但馬エロツアーは、京都や奈良と違い、エロネタそのものが苦しくて、サンテレビの人にロケの数日前に、「蟹のエロ話、何かないですか?」と問われたときは、「ねぇよ!」と言いそうになりました。蟹のエロ……未だに思いつきません。
 蟹の本場で生まれたとはいえ、自主的に蟹を食べに行くことは普段はないのですが、蟹シーズンの越前が舞台の小説を書いていると、「蟹……蟹……」と、無性に蟹が恋しくなりました。

 そして先日、外出して銀行や郵便局への用事を済まし、向かったのは京都の「かに道楽」。関西人には、「と~れとれ、ぴ~ちぴちかに料理~♪」の、なにわのモーツァルト・キダ・タロー先生のメロディが流れるCMでお馴染みの! かに道楽! 
 そういえば、私、あの音楽を聴いて行った気になってたけど、実はかに道楽行ったことないかも! 調べると、ランチメニューもあるので、ひとりかに道楽をチャレンジしてみよう! と、出かけました。
 かに道楽が浮かんだのは、西日本出版社の「カニという道楽」(著・広尾克子)という本の存在がありました。かに道楽は、もともとは但馬豊岡の日和山観光という会社が運営していて、現在は日和山観光から独立して関連会社となっています。日和山観光は、豊岡で城崎マリンワールド、ホテル金波楼などを経営しています。
 そして開店の11時前に、少し離れたところでかに道楽を眺めて、あの動く看板の写真などを撮っていると、団体さんが入っていきました。11時ジャスト、何組かお客さんが訪れ、私が入ると、既に40分待ち! 番号の書かれた紙をもらい、40分、喫茶店で仕事をしてから、再度訪れました。「満席です」と書かれた紙があり、流行っているようでしたが、松葉蟹のシーズンもあるのでしょうね。
 そして案内されて、注文し、刺身、グラタン、蟹ご飯、天ぷら……と、蟹を堪能しました。ひとりで行って大丈夫かなと心配していたのですが、なんの問題もなかったです。連載終わったら、また行こうと思いました。
 かに道楽で、ひとり蟹を堪能したあと、「カニという道楽」を読みました。蟹が、日本人の中にどうやって浸透していったか、冬になるとたくさんの人が訪れる「カニツーリズム」、蟹料理の話……知らないことばかりで、というか、そもそも蟹について深く考えたことがなかったので、面白かった。
 城崎といえば、蟹を思い浮かべる人が多いのですが、そうなるまでには町の人たちの努力があったのも、初めて知りました。
 あと、幻の間人蟹(たいざがに)は、死ぬまでに食べてみたい。
 長編小説を書いている途中って、「つまらないんじゃないか」「私には才能がない」「どうせまた売れない」と、心折れまくりなのですが、なんとか蟹により、「果ての海」ラストまで突っ走れそうです。

「カニという道楽」http://www.jimotonohon.com/annai/a1459_kani.html

 地元ネタが続くのですが、先日、「達徳」という冊子にエッセイを書きました。母校・豊岡高校の同窓会冊子です。豊岡高校は、兵庫県で二番目に古い学校で、「達徳」では、卒業生に向けて定期的に同窓会や現役の生徒たちの近況が伝えられています。
 夏に、達徳会の京都支部の集まりに顔を出したのがきっかけで、「達徳」への寄稿をお願いされました。「元気だで~」という、但馬弁バリバリのタイトルの欄です。同窓会の冊子なんて、あんまり変なこと書けねぇ……母親も叔父も、妹も弟もみんな同じ高校出てるから……と、無難に、小説家になって頑張ってます! みたいなことを書きました。
「達徳」が発行されると、高校の部活の後輩たちから、FB経由で「おどろいた!」とメッセージが来て、20年ぶりぐらいにやり取りもしました。
 高校では合唱をやっていて、NHK全国合唱コンクール、兵庫県大会3位などの成績を残し、結束も高く、クラスにはあんまり馴染めなかったけど、部活は熱心にやっていました。年に一度、リサイタルがあり、その中のミュージカルで、私が毎年脚本を書いていたのはみんな知ってるんで、「小説書くなんて意外!」とは思わないだろうけど、驚かれはします。
 新刊「好色入道」(実業之日本社文庫)の帯には、「性愛小説の女王」と書かれていますしね……性愛小説の女王……。きっと後輩たちは、「先輩、いつのまにそんなことになったんですか??」と思っていることでしょう。
 性愛小説の女王……叶姉妹みたいな格好をしてそうなイメージです。でも、今、すっぴん、パジャマでこれを書いています。だらしなくてすいません。かに道楽でひとりランチするぐらいしか、楽しみないし。家族以外と話してないし。昼も夜も仕事してるし……。ストレスで胃が痛い&目の周りが痙攣してるし。そもそも、夜出かけない、夜遊びしない、酒もあまり飲まなくなったから、仕事してないときは、本を読んで過ごしています。数年前に、週刊文春の本の紹介コーナーで「性の達人」と書かれたことがあったけど、申し訳ございませんとしか言いようがない。
 実際に会うと、「案外まともな人ですね」とか、「真面目ですね」とかよく言われるけど、そうじゃなきゃ締め切り死守して、これだけ本は出せないでしょう。あと、バスガイドなんて、時間に厳しく、常に勉強が必要な仕事は、真面目じゃないとできない。真面目だから男に騙されて金とられたりするんですよ。
 官能界隈の小説家って、昔はどうか知らないけれど、わりときちんとしている人が多いという印象があります。デビューした頃に、官能小説の大家・睦月影郎さん、館淳一さんたちとお会いして、皆さん、素晴らしく紳士なのに驚きました。書いてるものはすごいのに。セクハラ的なこと一切ない、穏やかなジェントルマンばかりです。どうしてもエロを書いていると、世間の偏見を浴びせられがちなので、なおのこと普段はちゃんとしなければとは思っているからかもしれません。それはAV男優が、腰が低く礼儀正しい人たちが多いのと同じなのです。
  デビューして間もない頃、女性向けの高収入求人誌、つまり風俗の雑誌でコラムを書いていたのですが、そこの編集部の女性って、みんな若くて上品な女性たちばかりでした。今もたまに「特選小説」という、男性向け官能文芸誌に短編を書いていて、表紙や中身はエロエロなんですが、私が知る編集部の男性はみなさん本当に仕事をきちんとして紳士的な、爽やか好青年たちです。
 ちなみに、団鬼六、川上宗薫、千草忠雄という、官能小説のレジェンドたちは、そろいもそろって「教師」です。千草忠雄さんは、金沢でずっと高校教師をしながら官能を書かれていたとか。教師じゃないけど、「家畜人ヤプー」の沼昭三も、堅い職業だと言われています。SM愛好家にはインテリが多いですね。
 団鬼六さんは三崎で中学の教師をしていて、その生活の中で抑圧を感じ、生徒を自習させて「花と蛇」を書いていたそうです。爆発的な性は、抑圧の中から生まれるから、堅い職業、真面目な人が多いのかもしれません。
 私はデビューは官能でしたが、今はミステリー、ホラー、怪談と、様々なジャンルを書いているし「官能小説家」と呼ばれることは読者を限定してしまい、偏見を与えるので、その肩書をつけてきた人には、訂正を求めています。男性が勃起するため、自慰用の小説が「官能」なら、私のは真逆で、どっちかというと萎えさせてやろうとしています。
 けれど、基本的なテーマは性なので、幻冬舎プラスで連載している「ヘイケイ日記 ~女たちのカウントダウン~」では、閉経、更年期のセックスについて書いています。これ、やっぱり女性はすごく感想をくれるのですが、男性は反応しにくいようです。男性と女性のセックスへの意識のズレが、性暴力やセクハラを生み出すので、WEBというたくさんの人に読んでもらえる機会をもらったので、いろいろ書いていきたいと思っています。
 男も女も、傷ついたり悲しむことがなく、幸せなセックスをして、穏やかに死を迎えられるように。

 12月は、16日発売の「実話ナックルズ ウルトラ」の連載「おんなの旅」で、大阪十三のSMクラブに面接に行った話を書いています。もうだいぶ前の話ですが、ええ話なので、よろしければ手にとってください。SMクラブの面接が「ええ話」ってなんやねんと思われるでしょうが、読めばわかります。20代の頃、消費者金融で借金抱えて大変だったけど、おかげで小説家になってからネタに困らない……。
 友人の社会派作家が、作中で登場人物が消費者金融で金を借りる場面を書くために、自ら「無人ボックス」に入りカードを作ったという話を聞き、「私なんか! わざわざ取材しなくても! 7社から借りてたから!」と、経験豊富さを誇ったことがありますが、それは間違ってますね……。
 しかし若い頃の、最低な体験をネタに出来るほど長く生きられたのはいいことなのかもしれない。ずっと死にたいと考えて生きてきたから。

 昔は、お正月になって「あけましておめでとうございます」とか、誕生日に「おめでとう」というのも、「何がおめでたいんじゃ。なんもええことないわ」と思っていたのですが、生きて新しい年や、誕生日を迎えるだけでも、すごいことじゃないかと近年は思うようになりました。
 明石家さんまさんが、娘が生まれたときに、「生きているだけでまるもうけ」で、「いまる」と名付けたとき、変わった名前だなとか思ったけど、今は「生きているだけでまるもうけ」という言葉が、身に沁みます。

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