2011年1月1日号。<英霊の眠る島から、あけましておめでとう>。
2011年1月1日号。<英霊の眠る島から、あけましておめでとう>。 午前零時。パラオ共和国コロール島。 あけましておめでとうございます。南洋のコロール島からお互いに新しい歳を迎えた悦びを申し上げる。 風が、強い。まもなく夜明け前のスコールが来るのだろうか。私はバアのカウンターに座ってこの文章を書きながらその風を受けているが、60数年前には私たちの父祖がジャングルのなかで銃を握り警戒をしながら、同じ風を受け、新しい歳を迎えていたのだろう。いや、昭和19年の闘いはもう新年を迎える前に事実上終わっていた。 これだけの歳月を経て、せめてそういうことを思いながら同じ風を受けている子供たちがいることを、空の上から英霊の方々が思って下さっていれば、それはいくばくかの私にとってのものなぐさめになる。 歳のはじめにあたって言いたい言葉は「ありがとう」だろうか。 どこぞの歌うたいが言っているよう