2008年9月19日号。<初秋の米子で出会った日本海の魚たち。淫蕩なまでの生サバの刺身や五感が打ち震えるアナゴの握りなど>。

 2008年9月19日号。<初秋の米子で出会った日本海の魚たち。淫蕩なまでの生サバの刺身や五感が打ち震えるアナゴの握りなど>。  4時半起床。鳥取県米子市。久しぶりの地方らしい地方の旅なので、今日は少し本職の(笑)紀行風に書く。  しばらく旅の文章を活字媒体に書かせてもらうことなく離れているので、さてうまく行くかどうか。  台風の余波だろうか。ホテルの窓から見る山陰の空はまことに不思議な相貌を見せているのであった。  太陽の光は差してはいないが、薄い薄い和紙のような雲が幾重にも重なり、それらが淡い光芒を帯びているのである。ちょうどぼんぼりの中に灯が入ってまわりを包んでいる紙がぼうっと光っているようなのである。  それらの雲の間からあまりに可憐な水色を湛えた空がかすかに見えている。  山陰のあの夏の紺碧ではなく冬の鉛色でもない。  ふたつの季節の間で含羞に戸惑うこの地の空に対して、西から迫り

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