2020年5月11日号。<屍を生み出してしまう家賃支援策とは / 検察庁法改正案は何のため?>

<屍を生み出してしまう家賃支援策とは / 検察庁法改正案は何のため?>


 おはようございます。ヨロンです。

 月曜日は江田僧侶の講話から始まるような感じにしたいのですが、隔週なので……ごめんなさい。
 しかも今日は暗い話になってしまったので、最初に謝っておきます


 最新の世論調査の結果が出ました。支持率、不支持率の順でカッコ内は先月の数字。
読売新聞 42(42) 48(47)
共同通信 41.7(40.4) 43.0(43.0)

 支持、不支持ともに、先月からほぼ横ばいとなりました。
 政府のコロナ対応に関しては、「評価しない」というのが、読売、共同でそれぞれ58%(先月は39%)と57%。逆に「評価する」は34%(53)と44.3%となっています。

 国のコロナの対応は評価しないけれど、緊急事態宣言については評価できるし、とりあえず頑張ってもらわなければ、ということなのでしょう。
 深刻なのは、共同通信の「あなたは、新型コロナウイルスの感染拡大で生活に不安を感じていますか、いませんか。」という質問に、84.4%が「不安を感じている」「ある程度不安を感じている」と答えたことです。国民全体の8割以上が生活への不安を感じているということです。


■屍を生み出してしまう家賃支援策とは

 そんな中、「家賃モラトリアム法案」として以前取り上げた、家賃補助の与党案が固まりました。
<家賃補助、財源2兆円 与党が2次補正編成へ始動 追加対策、学生支援や雇調金拡充も柱>
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO58903800Y0A500C2EA3000
<与党は新型コロナウイルスの感染拡大に対応する2020年度第2次補正予算案の編成を視野に、追加の経済対策づくりに着手した。8日に合意したテナントの家賃支援は2兆円弱の財源を見込む。経済的に困窮する学生の救済策、雇用調整助成金の拡充を加えた3本柱で検討する。>

 これを見て、「なんでこうなっちゃうんだろう」と頭を抱えかけたところで、是々非々ではあるものの、どちらかと言うと野党に厳しい元経産省官僚の石川和夫氏が、フェイスブックにこんな投稿をしていました。
<家賃補助に関する与党案は、ハッキリ言って話にならない。
都市部の事業者の倒産多発を放置するのだろうか…
異常事態なのだから、家賃や住宅ローンなど前広にモラトリアム臨時措置をしないとダメ。
要らぬ倒産や悲劇が多発する、このままでは…>

 この法案は本来、4月は何とか乗り切れても5月もしくは6月は持たない、というような中小企業や個人事業者などに必要とされるもの。家賃の支払い猶予や補助をしてあげないとバタバタと倒れていってしまう、ということで緊急提案されました。4月開店を目指して準備してきた店も多くありますが、与党案ではそれは対象になりません。

 東京麺通団は現在「4月は10ヶ月分払ってある敷金からなんとか1ヶ月分(120万円)をまわしてもらったけど、5月は厳しい」という状況にあります。これに対し、この法案では、パロマスはまずお金を借りて家賃を払い、国に申請して認められたら、最大50万円をいつか出してもらうということになります。

 石川さんが「話にならない」としたのはまさにここ。50万円では全然足りず、しかも5月を乗り切れない多くの飲食店が軒並み店を畳むだろう、ということなのです。
 飲食店や対象企業は、自治体独自の補償などかき集めて、なんとか5月6月を乗り切り、緊急事態宣言が解除されたあとのV字回復で、収益を戻していくことが求められているのです。

 ちなみに、最初に出た野党案と与党案の比較はこちらからできます
【図解・政治】自民と野党の新型コロナ影響による家賃支援策(2020年5月)
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics20200507j-02-w560

 一見、与党案の方が財源を考慮したように見えますが、与党案は給付で野党案は支払い猶予(国が建て替え)なので、トータルでもさほど変わらないはず。
 これは本当にスピードが求められるので、なんとか与党案に「肩代わり」だけでも入れて欲しい。そうしないと、相当数の倒産が5月から6月にかけて起きます。

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