2019年10月13日号。<「命を守る行動をとってください」とは / フルマラソンで2時間切りの偉業 / エッセイ『ウイグル族の姉弟』:漆嶋稔>

 おはようございます。ヨロンです。

 大型の台風19号が去りました。
 とはいえ、まだ岩手では大雨警報が続いていますし、各地で土砂災害や川の氾濫・堤防決壊による被害も出ているため、現在進行中ではあります。

 昨日は、夜8時くらいに一度このメールを書いて自動配信されるように設定したのですが、今(午前8時半)は台風一過の日本晴れ。停電も断水も無く、避難することも無かったので全部書き直しています。すぐ近くでは土砂崩れの恐れが高まり、避難指示が出たところもあって、警戒レベルも5に引き上げられました。たまたま私の家はまったく被害が無かっただけで、避難所に行かれた方や、川の氾濫によって家が浸水する被害に合われた方もいます。

 私の実家の東御市(とうみし:長野県)で、橋が落ちて車が落下し行方不明者が出たり、千曲川が決壊するとか、各地で死亡・ケガ・行方不明者が出たというニュースが続いていますが、台風が直撃した首都圏では意外と被害は少なくて済んだ、というのが実態ではないでしょうか。少なくとも「地球史上最大規模」という表現が、かなり大げさであったことは言えそう。
 箱根では降り初めからの降雨量が1000ミリを超え、広範囲で停電が起き、いくつもの川が氾濫するなど災害としてはかなり大規模であるにもかかわらず、台風の大きさに比べて被害は少なかったような感じです。
 とはいえ、今も新潟の阿賀野川で氾濫発生したという速報が入ってきました。栃木県佐野市の秋山川の堤防も決壊したそうです。まだ明らかになっていない被害があり、今後拡大する可能性もあります

 予想より被害が下回った(まだわからないところもありますが)要因としては、週末であったことや、交通機関が事前に運休を決めていたことなどがあげられるでしょう。昨年の台風21号や先日の台風15号での被害が記憶に新しいために、事前にできる限りの準備を進められたということもあると思います。NHKだけでなく、民放もほぼ一日中台風情報を流していたので、安全な行動を取りやすかったということもあるでしょう。今のところは大規模な堤防決壊や土砂崩れが首都圏で起きていないということも、最悪の状況を免れた一因と言えそうです。
 埼玉にある「首都圏外郭放水路」が、今回機能したのかどうかも気になるところです。
防災地下神殿「首都圏外郭放水路」
https://www.gaikaku.jp/

 他にも気になることがありました。
 テレビでは何度も「命を守る行動をとってください」とアナウンサーが言っているのですが、これがどうも違和感がある。勝谷さんなら突っ込みそうな表現です。
 うまく説明できないのですが、得も言われぬ”そらぞらしさ”を感じます。私だけかと思って検索してみると、2013年まで遡りました。Life guard action (命を守る行動) や Life saving action (命を救う行動)から来ているのではないかということですが、誰が言い始めたのかはわかりません。昨年の西日本豪雨でも使われていて、違和感を持った人もいたようです。

 「身の安全を確保してください」で良いような気もするのですが、メディアとしてはより効果的な表現を模索しているようです。それにしても東北の震災のときの「絆」のように、「命」が軽々しく使われていて鼻につくような気がします。考えすぎかな。

 もうひとつ気になったのが多摩川の増水です。多摩川の川沿いには多くのホームレスのテントがあるのですが、映像を見る限り堤防の縁ギリギリまで増水していたので、テントはすべて流されてしまったことでしょう。かなり本格的なものもあったのですが、それらも跡形も無くなっていると思います。
 ホームレスの人たちは、事前に逃げることができたかもしれませんが、台風情報が的確に入ってくること無く流されてしまった人もいるのではないか。その場合、行政としては「存在していない」ということになってしまうのか。
 なぜ気になるかと言うと、以前から自分が突然ホームレスになってしまう夢を何度も見るからなのです。「考えすぎだ」とも言われるのですが、今はたまたま仕事と家があり、実家の母や弟はかろうじて元気にしているだけで、いつ何時すべてが無くなって歯車がずれてしまうかわかりません。
 楽天的過ぎないのは大事かもしれませんが、あまり悲観的に考えるのも、何か悪いものを引き寄せてしまう気がするので、基本的には前向きでいます。これは漠然とした不安を感じているだけなのかもしれません。

■フルマラソンで2時間切りの偉業

 台風情報一色の中で、驚くべきニュースが飛び込んできました。
<キプチョゲ、世界初のフルマラソン2時間切りを達成>
https://www.afpbb.com/articles/-/3249235
<陸上、男子マラソンのエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)が12日、フルマラソンの2時間切りを達成して歴史を塗り替えた。
 オーストリア・ウィーンにあるプラーター公園(Prater Park)に記録達成をより可能なものにするため設置された特設コースで、キプチョゲは非公式ながら1時間59分40秒2を記録し、史上初めてフルマラソンで2時間切りを達成した。>
 この『イネオス1:59チャレンジ』というのは、フルマラソン2時間切りを目標としたイベントで、今回41名のペーサーが、キプチョゲの偉業達成のために協力しました。国際陸上競技連盟認定の公式記録としては認められないのですが、史上初の2時間切りは、世界中のランナーにとって大きな希望となります。
 キプチョゲは、2年前の同様のイベントで2時間00分25秒を出した後に、2時間1分39秒の公式世界記録を達成したので、今後公式大会での偉業も期待できます。それにしても凄い。

 先週に続き、翻訳家の漆嶋稔さんのエッセイをお送りします。日常のちょっとした光景なのですが、なぜか懐かしさを感じます。

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ウイグル族の姉弟

漆嶋稔(翻訳家)

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