2012年3月16日号。<吉本隆明さん逝く。彼の「何」に影響を受けたかで世代がわかる。もちろん名前も知らない世代も>。
2012年3月16日号。<吉本隆明さん逝く。彼の「何」に影響を受けたかで世代がわかる。もちろん名前も知らない世代も>。 3時起床。大阪。 この時刻には部屋に配達されない新聞を買いにコンビニに出る。朧月なり。まもなく大阪も雨になるという。 新聞にはまだその記事はなかった。夕刊では1面になるだろう。部屋に戻って開いたニュースのサイトには吉本隆明さんの逝去の文字が踊っていた。新聞で1面になるだろう、というのは若い記者たちは「吉本ばななのお父さんだよ」と言ってようやくわかるのだろうが、大マスコミの幹部の皆さんは「ああ、あのリュウメイさんが」とその著作を読んでいなくても、なにごとか大事件が起きたと感じるに違いないからだ。 「時代と寝た知性」などと書くと彼を神聖視している向きからは猛烈な反発が来そうだが、私としては最大限の弔辞なのである。私自身が「時代の顔色をきょろきょろと見て、すがって食っ