2008年2月17日号。<小名浜紀行>。

 2008年2月17日号。<小名浜紀行>。  5時起床。  夜明けとともにかすかにサイレンの音のようなものが響いてくる。しかし、そのかそけきさは日本屈指の漁港であったこの港の、いまの衰え方を示しているようで、切なくも哀しいものなのであった。  福島県の小名浜市の小さなホテルの窓から私は今日の夜明けを見ていた。『スッキリ!』の「日本各地裏名産」の旅コーナーのロケに来ているのである。  太陽がのぼると、私のホテルの部屋がそれを背にしていることがわかる。目の前の家々が陽差しを浴びて輝き始めるからである。右手には街なかとしては異様なほどの大きな墓地が広がり、左手前方にある工場の煙突から出た煙が、吹きちぎられるように激しく靡いているのを見て、いまごろは北海道沖にあるに違いない低気圧のヘクトパスカルの低さに思いが至るのであった。  大阪から思いもかけない短い時間で私はこの東北の漁港に至ったのであった。

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