2016年３月11日号。＜またこの日が巡ってきた。声高な「復興」もいいだろうが「慰め」を続けることも忘れてはいけないと思う＞。

2016年３月11日号。＜またこの日が巡ってきた。声高な「復興」もいいだろうが「慰め」を続けることも忘れてはいけないと思う＞。 　４時起床。 　空が、哭いている。 　どこから夜が明けているのかわからないような今朝であった。外に出ると震え上がるほど寒く、鈍色の空が広がっている。どうしてもそれは５年前の被災地を連想させ、遥か離れた都心にあっても、天を覆う雲の中に、あまたの犠牲者の魂があって私たちを見おろしているようなのであった。 　また３月11日が巡ってきた。もう５年か、とまだ５年か、という二つの想いが交錯する。時の流れの早さというのは当事者とそうでない人々との間では異なるように私には思われるのである。というのも、私は当日は東京にいたとはいえ、実家は阪神淡路大震災で被災した。酒と歳のせいか日々薄れ行く記憶力の中で、その時のさまざまなありさまは、まるで何かに保存されているかのように思い出すことが