2013年12月20日号。<「王将」の社長、射殺。餃子の庶民的イメージや社長の人柄だけで、背後を見誤ってはいけない>。

2013年12月20日号。<「王将」の社長、射殺。餃子の庶民的イメージや社長の人柄だけで、背後を見誤ってはいけない>。

 4時起床。
一年でもっとも日の出が遅いこの時期、今朝のように雨まで降っていると、いつまでたっても明るくならない。気持ちもどうしても滅入って来るなあ。
今日は名古屋で収録、そのあと大阪入りするともう日付が変わるような時刻だ。でもって明日は『あさパラ!』。その前に日記を書いていると、ほとんど眠れなさそうだ。『あさパラ!』は900回記念ということで、本来は出演のローテーションではないのだが、出ることに。120分です。お楽しみに。
昨日は『天国のいちばん底』を書き上げて15時からジム。1800回のロープを一度もひっかからずに跳べて気分がいい、って子どもか(笑)。終えて家の近所のいきつけの居酒屋で独り飯。「もう今年は今日が最後ですか?」と大将が聞くので頷いて、会計を終えて外に出ると、雨の中に立っていて「よいお年を」と頭を下げて見送ってくれた。ホントに安い、どこにでもあるような店なんだけど、よく通うのはこういう気持ちがあるからだ。やはり店は人である。しかし、こういう挨拶が交わされる時候になったんだなあ。

 猪瀬直樹東京都知事の辞職を巡る一連の報道で、もっとも重要な部分は実はここだと私は睨んでいる。書いている朝日新聞もどこまでわかっているのか知らないけど。
<猪瀬知事、辞職の裏に服務紀律と百条委/石原氏も促す>
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312190405.html?ref=com_top6_1st
<猪瀬氏は追い詰められつつあった。都議会は17日午後、百条委の設置を検討する方針を示した。「百条委ってどういうものだ」。17日にそう尋ねた猪瀬氏は18日、「偽証をすれば5年以下の禁錮刑になる」との事務方のペーパーに目を通すと様子が一変。2005年に都議会が百条委で当時の石原知事の側近副知事を辞任に追い込んだ経緯を知り、「深刻さに気付いたようだ」(都幹部)という。>
やはりこの人に都知事は無理でしたね。今ごろになって<「百条委ってどういうものだ」。17日にそう尋ねた>はないでしょう。いやしくも首長ならば、不信任、解散、そして百条委員会の仕組みは、攻撃と防御のために知っておくべき基本中の基本だ。長野県知事をも狙っていた猪瀬さんなのだから、あそこの「嫌」議会が田中康夫知事を追い出すために、どれほどこれを振りまわしたかくらい充分に研究していたかと思ったのに。
そういう意味で確かに「アマチュア」だったのは間違いない。
<猪瀬都知事/辞職表明、「政治家としてアマチュアだった」>
http://mainichi.jp/select/news/20131219k0000e010171000c.html
<猪瀬知事は会見で、5000万円について「生活の不安から借りたもの」と選挙資金であることを改めて否定する一方、「借りるべきではなかった。政治家としてアマチュアだった」と語った。今後については「作家として発信し、恩返ししたい」と述べ、政界から引退する考えも明らかにした。>
何とも皮肉なことに、同じ日に国の有識者会議が東京で直下型地震が起きた時の被害想定を発表している。
<死者最悪2.3万人、経済被害95兆円/首都直下地震、国想定
http://www.asahi.com/articles/DA2S10889489.html
<首都直下地震の被害対策を検討してきた国の有識者会議は19日、30年以内に70%の確率で起きるとされるマグニチュード(M)7級の地震で、最悪の場合、死者が2万3千人、経済被害が約95兆円に上るとの想定を発表した。政府は今年度中に、緊急対応や省庁機能のバックアップなどを定めた基本計画を策定する。>
防災対策の「現場司令官」が辞める瞬間にこんなものを出すという「センス」もいかがなものかとは思うが(笑)こういう大災害が起きた時に「アマチュア」が知事をやっているのではなくなったことを、都民は幸運だと思うべきだろう。
さて、本題はここからである。猪瀬さんはなぜこれほどまでに百条委員会を恐れたのだろう。それはやはり、私が繰り返しここで書いてきたように「どうしても語れないこと」があるからではないだろうか。禁固5年どころではなく、口にすると命にかかわるようなことが。あれほど執着した知事の座であっても、命あってのものだねだもの。
蛇の道はヘビである。都議会も薄々何か気付いているフシがある。都議ごときにそれだけの調査能力がなくとも、官邸はすぐに公安や情報筋を使って背後を探ったに違いない。それが都議会自民党などに耳打ちされている可能性は高いだろう。にもかかわらず。
<百条委設置は見送り/都議会「説明責任果たさず辞職は遺憾」>
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131219/crm13121920060024-n1.htm
<猪瀬直樹知事が19日、辞意を表明したことで、東京都議会は、強い調査権限を持つ「百条委員会」の設置を見送る。猪瀬氏に対し徳洲会グループから5千万円を受領した問題を追及すべく準備してきた各会派は、「最後まで説明責任を果たさずに辞任するのは遺憾」と述べ、疑惑が晴れないまま辞職する猪瀬氏の対応に不満の声をあげた。>
いや、だったら百条委できちんとやればいいじゃん。数行の間にでっかい矛盾があることを知ってて産経新聞の記者は書いているのかなあ。「説明責任を百条委で果たしてもらえばいいじゃないですか」と聞きなよ。
おそらく、都議たちも触りたくないのである。「ああ、おわったおわった。辞めてくれてよかった」なのだろう。
猪瀬さん、徹底的にぜんぶ書いちゃいなよ。小説ということにして。あとでどうなるか知らないけど(笑)。

 そう。あなたや、あなたが思っている以上に、世の中というのは怖いのである。首都直下型地震の想定を都知事が辞める日に発表するセンスをさきほど嘲ったが、同時にこんな事件が起きるというのも、何だか象徴的なように私には思われる。
<「王将」社長、撃たれ死亡/山科の本社前、胸など3カ所>
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20131219000048
<19日午前7時ごろ、京都市山科区西野山射庭ノ上町の「餃子の王将」を展開する王将フードサービス本社前で同社の大東(おおひがし)隆行社長(72)がうつぶせで倒れているのが見つかった。大東社長は拳銃のようなもので撃たれたとみられ、右胸の1カ所と左腹部の2カ所に傷があり、市内の病院に運ばれたが、約1時間後に死亡した。現場に薬きょうが複数個落ちていた。>
京都には魔物が住んでいる。事件記者をやっていたころ、いちばん怖い取材先が京都だった。ずっとどこかから見られているような感触、そしてやる時には平然と暴力行為をやるような空気。あのみやびな古都の底にはそうしたものが流れている。
犯人は相当な腕前ですね。いくら至近距離とは言っても、4発撃って3発を致命傷を与える場所に命中させるのは、なかなか難しい。動かない標的ではないのである。口径がわからないが、拳銃の1発では人はなかなかすぐに倒れない。そこに向けてあと2発を当てている。素人ならば1発目の自分が出した音に驚いて、そのまま逃げ出したくなるものだ。にもかかわらず踏みとどまってトドメをさしている冷酷さ。薬莢を拾わなかったのは、アシがつかない拳銃なのではないか。
動機については報じられる通り、今のところまったくわからないとしか言いようがない。ただし、私にはちょっと気になった記事がある。
<外食産業のカリスマ・大東隆行社長/「餃子と言えば王将」定着させる>
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131219/dms1312191533022-n1.htm
<その功績を高めるきっかけになったのは2000年4月、社長に就任したときだった。
「他の外食産業の猛攻を受けて、売上高が伸び悩み、4代目としてバトンを受けた。だが、王将は、バブル時代に手を出した不動産投資などが失敗し、数百億円の負債を抱えていた。本人はそれを知らなかったようで『会社が飛ぶんじゃないか』と資金繰りに相当苦しんでいた」>
大東隆行社長は確かに誠実な人柄で、人の恨みを買うタイプではなかったかも知れない。しかし、会社は別だ。<バブル時代に手を出した不動産投資などが失敗し>というのは、会社として闇社会との接点があったかも知れないことを私に直感させる。ましてや、さきほども触れたように京都である。私だったら京都で不動産へのバブリーな投資など、怖くてできない(苦笑)。表面では真っ当な取引のように見えても、物の怪のように裏からどういう人物がニュッと顔を出して介入してくるかわからないのが、あの街の怖さだ。
大東社長はそうした「後始末」をおそらくは「真っ当に」やろうとしてきたのだろう。しかし、会社の業績が好調なのと、そういう裏仕事とは、これは完全に別ものだ。真っ当にやろうとすればするほど、摩擦も起きる。猪瀬さんのように、ニョゴニョゴっとやって逃げきった方がいい場合だってある。
しかもここへ来て「動き」もあった。
<餃子の王将3代目が失踪/妻が暴露>
http://news.livedoor.com/topics/detail/7792139/
<「餃子の王将」3代目跡取りが長男を連れ失踪していることを21日のFRIDAYが報じた。>
<ウクライナ人の元妻は長男を連れ戻したいと心境を語る。>
<2008年にエジプトで、長男を連れ去られてから会えていないと元妻。>
報じられたのは6月である。失踪と巨額の借金は関係ないのか。海外とのつながりは?犯行の手口が、ちょっと日本人離れしているのも気になるところである。

 天皇皇后両陛下のご訪問もあって、日本とインドの関係はいま、まことに良好だ。明日、明後日には我らが海上自衛隊とインド海軍が合同訓練を行う。
<海上自衛隊/インド海軍と共同訓練/21・22日>
http://mainichi.jp/select/news/20131220k0000m030090000c.html
記事にあるように、安倍晋三首相も年明けに訪問する。イランを巡ってなど、外交下手のオバマ大統領の手助けをしている安倍さんだが、この訪印でもアメリカ外交の尻拭いをすることになるかも知れない。
<米、逮捕したインド女性副総領事を裸で身体検査>
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131219-OYT1T01004.htm?from=navr
<関係者によると、デブヤニ・コブラガデ副総領事は今月12日、自宅で働く家事手伝いの女性のビザ申請書類に、実際には最低賃金未満だった給与を水増しして記載した疑いで逮捕された。手錠で拘束され、連行後は裸で身体検査を受け、麻薬中毒者らと一緒の拘置施設に入れられたという。
副総領事は同日、保釈金を支払い、釈放されたが、インド政府は、外交官の不逮捕特権などを理由に、米政府に謝罪を要求。報復措置として、17日、インド駐在の米外交官らの身辺調査を徹底する方針も示した。>
アメリカというのはときどき、信じがたいことを仕出かす。証拠もないのにフセインと戦争をやらかしたのと、根っこは同じだ。「不逮捕特権は副総領事には及ばない」って、副とはいえ総領事に特権がないなら、誰にあるのよ(笑)。アホでマッチョな親戚のために、安倍さん、和解をとりもってあげて。

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